忍者ブログ

とある帝國の帝王様の単なるひまつぶし(自己満足)日記 コメントよろしく!
03 2024/04 1 2 3 4 5 67 8 9 10 11 12 1314 15 16 17 18 19 2021 22 23 24 25 26 2728 29 30 05
RECENT ENTRY RECENT COMMENT
[02/20 VaizravaNa]
[01/24 名無し]
[01/24 警視総監]
[12/31 楽園の最高裁判長]
[12/28 楽園の最高裁判長]

04.25.10:26

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • 04/25/10:26

10.03.23:34

ファミマ

いやっほう

やっとプレミアムが戻って参りました!

9/3からのデイリーランキングをずっと見直してます

どうやら9月にファミマブームが到来したようですね

なにも知りませんでしたわい

一つ気に入ったので紹介




なにがすごいって?

コメントがすごいんですよ

それじゃ物語ごとに紹介!

物語(青:水色コメ)

「おじいちゃん!また、あのお店の話しして!!」
「おやおや、あのお話がそんなに気に入ったのかね?」

「うんっ!!」
私の孫は、たいそうあの話が気に入ったようだ。

あの、土埃まい硝煙のけぶる中、孤高を貫く一軒の店の話・・・。

戦場のど真ん中にあるのに、その店は私の知る限り、いつも小奇麗だった。
何度か利用するようになった時、店長が話してくれた。
「お客様が来るんだ。店の周りを掃除しなくちゃ店員は勤まらんさ」

あの時の、ごく稀にしか見せない、はにかんだような笑顔は今も私の心を温かくする。

あれは戦地に赴いて三カ月がたったある日だった。
電信兵として着任したものの戦局は泥沼化、私も塹壕から他の兵とともに這いずり出ていた頃の話だ。
その頃になると、物資配給も滞りがちで、パンやミルクより流れ弾の数や量の方が圧倒的に増えていた。
最近投入されたというタンクに逃げまどい、何処をどう撤退したのか・・・。

ある街角に生き着いた。
その場に凛然と立つ店、それがあのコンビニだった。

もはや電気も切れ、自動ドアが半開きになった状態でもその清潔さが分かる。
不思議に思いつつも、口の中が戦場の煙で泥のようになり、何か液体で口を濯ごうと店内に踏み行った。
その時、

「いらっしゃいませ!!」

この土地に着任して初めて聞く元気で明るい声。
その声に心では驚きながらも、体は訓練を思い出し、銃口を声の方向=レジに向ける。
そこには恰幅の良いエプロン姿の中年男が立っていた。

しばらくの間を置き、私は言った。

「こ、こんな所で何をしてるんだ?」

その問いかけに平然と応える男。

「何って?商売に決まってんじゃねーか?お客さんなら、前の張り紙見たのかい?
 この店じゃ銃を向ける奴に売る品はないよ?」

いささかも気負った風もなく平然としゃべる男に私は圧倒される。
「こ、ここは戦場だぞ!?なんで一般市民がいるんだ!?」

という当然の質問に、彼はそれすら当然のように、

「いや、ここは俺の生まれた町”ノルマンディー”だ。”戦場”なんていう下らねぇ名前の地名じゃねぇ。
 ここは国境が近くにあるだけのただの町。だが俺にとっちゃ安らぎの町だったのさ、、、。
 お客さんが来たら、いつも笑顔・元気に応対!安らぎの町を再び!ってなもんよ」

私は唖然となって、銃をおろすしかなかった。
すでに筋肉が疲労で維持できなかったのもあるが・・・。

「よし!銃をおろしたな?じゃあお客様だ!いらっしゃいませ!
 以前は略奪にあった事もあるが、そのたび品は入れ替えてる自慢の品ぞろえだ!」

「いや、すまん・・・実は喉の渇きを潤そうと入ったんだが、あいにく金なんてない。すぐ出て行くよ」

すまなそうに私が言うと、彼は感心したように言った。

「兵士なんて、銃を突きつけて略奪していく奴が大半だが・・・あんたは良い客のようだ。
 そうだな・・・おぉ!!良く見りゃ、あんたが背負ってるのは電信じゃないか!」

「あ、あぁ・・・とは言っても、さっきの戦闘で流れ弾が当たって
 “小破”って所だけどな。でも録音だけならできるかな?」

それを聞くやいなや途端駆け寄ってくる男。
名札にはただ、「店長」とだけ書かれていた。

「頼みがある!南の中立国国境近くの難民キャンプに俺の妻と子供がいる!
 なんとかそこに俺の声を届けてくれないか?その代わり代金はいらねぇ!
 なんでも好きなもの持って行ってくれ!」

軍の任務や義務も、その勢いに押されてしまった。

「わ、わかった。じゃあそこのミネラルウォーターを・・・」

商売が済んだ後、そこにいたのはただのどこにでもいる父親だった。
何処にもいない、ありふれた戦場の父親・・・。


「モニカ、ジェシカ・・・父さんだ!無事か?
 お前たちを放って店に残った父さんを許しておくれ!
 だが、この地を戦火で汚されたくない!
 日々の温かな暮らしを国同士のいがみ合いで奪われたくなどない!
 俺はばあさんの店を守って見せる!
 いつか平和になった時、そこに立つ一件のコンビニにみんなは希望を持つだろう!
 そんな夢を現実にして見せるぞ!
 父さんは無事だ!お前たちも・・・」


最後は嗚咽に消えていく。
「すまない、録音時間限界だ。」
申し訳なく囁く俺に、手を握って返してくれる店長。

「いや、良いんだ。あれで良い。謝れただけで十分だ。
 だから、頼む。いつか俺の声を届けてくれ」

その後、何度か訪れた店も、さらに続く戦火の中でついに瓦礫に消えた。


だが、そこに奇跡が2つ訪れる。

 

「一つは、その録音テープが敵対する2国だけでなく他国にすら広がり、 揺るがし平和のかぎとなった事じゃ。」


「そして、もう一つは、その瓦礫の中から、終戦になるや、」


「真っ先にコンビニが立った事じゃ。娘のジェシカさんが店長となってな・・・。」

 

物語(青:紺コメ)

 1944年の夏。あれはとても暑い日だった。

忘れもしない。今でもあの記憶は詳細に残っている。

血泥にまみれ多くの戦友を無くしたD-DAYも過ぎ去り

あの時俺はただ、ひたすらにパリを目指して進んでいた筈だった。

運が悪かったのだ。分隊での作戦行動中俺は一人廃墟に取り残された。

腹を空かし、喉も渇き、自分だけが遠い砲撃の音しか聞こえない

こんな瓦礫の町でのたれ死ぬのかと思うと暗澹たる気分になった。

日も沈み、深い闇が辺りを包もうとしたとき、一筋の淡い光が射した。

「ファミリーマートだって。」聞きなれない名前だ。

入り口に立てばガラスの扉が自動的に開き、場違いなほど明るいチャイムが鳴る。

「いらっしゃいませ。」煤けた店員が笑顔で俺にそう言った。

店の中は綺麗だった。塵一つ落ちてない清潔さが保たれていた。

 

「あんた、なにやってるんだ。」

「アルバイトです。」

「逃げないのか。いつここがまた戦場になってもおかしくないのに。」

「店員が逃げたら誰がレジを打つんですか。」

「こんなに溜め込んでたら暴徒とかに襲われないのか。」

「ここ数日誰も来てませんから。」

 

ポケットの中の紙幣を握り締める。腹がとても減っていた。

とにかく何でもいいから胃の中に放り込みたかった。

菓子パンコーナーでも見て回ろうとしたとき、再びチャイムが鳴る。

入り口には不思議そうな顔で店内を見回すドイツ兵が居た。

「銃を降ろせ。」俺が銃を構え叫ぶとドイツ兵もまた構え、何か叫び喚いていた。

お互いの怒号が響き、一触即発の空気となったその時

「お客様。」一際大きい声が辺りに響いた。

怒るでもなく、泣くわけでもなく、店員は笑顔でこう言った。

 

「当店人気一番のファミチキはいかがでしょうか。」

 

目の前に差し出されたフライドチキン。俺に手渡すとドイツ兵にもまた

ドイツ語で先程と同じことを言いながらフライドチキンを渡していた。

こんなもの食べている場合じゃないと思いながらも香ばしい匂いにつられ

思わず俺はファミチキに齧り付いていた。

 

 

美味かった。 

 

食べやすいように肉の中に骨が無い所に仄かな優しさを感じた。

何故だろうか。脳裏に故郷に残した母の顔が思い浮かぶ。

気がつけば俺は声を出して泣いていた。ガーランドが重い音を立てて地面に落ちる。

ドイツ兵も泣いていた。俺と同じく銃を落として。ワンワン泣いていた。

ファミチキの美味しさと優しさに、俺達の心は言い知れぬ望郷の念と

深い深い虚しさに包まれていった。

そんな俺達のことを店員は優しく微笑んで、ただ見つめていただけだった。

「ありがとうございました。」再びチャイムが鳴る。

俺は凍った伊右衛門と温めたカレーパンが入ったレジ袋を持ち

ドイツ兵と共に外に出た。

一度顔を見合わせ、そしてさよならの言葉もなしに俺たちは互いに反対方向へと歩み 

自分の帰るべき場所を目指した。

 

今でもファミチキを食べて思う事はこの記憶。

もう顔も思い出せないコンビニの店員とドイツ兵と過ごした不思議なコンビニの記憶。

店員の輝いた笑顔に心打たれ、顔をぐしゃぐしゃにして二人でないたあの記憶。

 

そしてもう一つ。

思う事、それは「ファミチキが美味い」という事実だ。

 

物語(緑:濃緑)

 「そうかあの日からもう60数年以上になるんじゃな・・・」

第二次世界大戦についての文献を読みあさる内に

ある<<場所>>が気がかりになった私は一人の老人との接触を試みた。

まさか、その老人こそが物語の主人公とも知らずに・・・・・・

「忘れもせんよ…1944年、6月26日・・・。わしは25じゃった。」

しばしの沈黙の後、老人はまた話し始めた。晩餐の料理に手をつけながら・・・

 

~1944.06.26~

 

その日、もはやノルマンディーは地獄と化していた。

ただ一つ、その<<場所>>を残して。

外ではけたたましい銃声が鳴り響く中整然と並べられた商品、白く磨きこまれた床。

そして・・・[ご自由にお使い下さい]の優しさがあふれる掛札。

そこは、たった一人の男が守り続ける戦場のオアシスだった。

オアシスの名は・・・ファミリーマート

 

店員が何気なく入口に目を向けると一人の軍人が入ってきた・・・あのチャイムと共に・・・

「いらっしゃ・・・」

「貴様、ここは間もなく爆撃機が通過する!早く退避するんだ!」

「いらっしゃいませ」と言う間もなく爆撃を宣言される男・・・その手は小刻みに震えた

「はやくしろ!もはや我が軍も憔悴しきっている!長くは待てんぞ!!」

店員は目頭が熱くなるのをぐっとこらえて言った

「それでも・・・私はここに残ります。」

「正気か!?爆撃されればここは一たまりもないぞ!」

「大変、申し訳ございません…」「大変、申し訳ございません…」

「くそ!勝手にしろ!!」

「あの・・ちょっとよろしいでしょうか・?」

「なんだ!手短に話せ!」

「きっと…、きっと…!お客様が最後になると思うのです。当店への御来客は…」

「そうなるだろうな…」

「だから最後に…これをどうぞ…」

「これは!ファミ…チキ…」

「揚げたてです…」

受け取ったファミチキを乱暴にほうばる軍人の目からは涙が溢れた。

 

…そうか、この床はこんなに白かったのか。

…そうか、商品はこんなに充実していたのか。

…そうか、この掛札はこんなにも優しさに溢れていたのか…と

 

改めて気付かされた。

 

「…爆撃は…中止だ。」

「えっ?」

「爆撃は中止だ!!……本部!本部!!聞こえるか!?爆撃を中止せよ!」

「どうして!!爆撃は決定したのでしょう!?」

「どうして!!爆撃は決定したのでしょう!?」

「こんな優しさに溢れた店は無くしちゃならない!…そう思っただけだ。」

「ありがとう…ございます…」

「本部!!……くそっ!!どこも取り次がないのか!!」

「…そうだ!これを!!」

「これは!制服?…そうか!」

二人は店の外へ走る――遠くに爆撃機の影が見えた

青と白と緑のまばゆいばかりに染め上げられた店の制服を大空へと振り上げた

「畜生!間に合え!!気づいてくれ!!!」

「お願いです!どうか・・・この店を!!!」

 

 

ゴォォォォォォォォゥッ!!!

 

 

頭上を…爆撃機が過ぎて行った。

「良かったな…なんとか気づいたみたいだぜ?…そういやアンタの名前は?」

「名乗るほどの名前もございませんが…店長と…お呼び下さい」

「そうか…分かった。なぁ店長?もう1個揚げてくれないか?終戦を見ながら食べたいんだ」

「かしこまりました。では…店内へどうぞ」

2人をあのチャイムが優しく迎えた

「そうだ…今度は最後まで言わせて下さい」

 

「いらっしゃいませ!」

 

「これが…あの日起きた出来事じゃよ」

老人は全て話し終えると、少々疲れた様子だったが食事をすすめた。

「店長はもう辞めたが…まだまだ腕は衰えん。ワシのファミチキはうまいじゃろう?」

 

その日、初めてナイフとフォークで食べたファミチキは…

涙が出るほどうまかった…。

 

物語(東部戦線版)

 1942年。新年を迎えた我が故郷は例年変わらずの豪雪に悩まされていた。

吐く息は白以外の色を見せず、空は見慣れた灰色をしていた。

だが、今年は。少なくとも今年は厳しい越冬生活を強いられそうだ。

ここは神の教えを拒絶し、「共有」を教義とした我が祖国ソビエト連邦。

ここは全てのものが耐え難い苦痛を「共有」する我が故郷レニングラード。

パンも野菜もなく、倒木を燃やし寒さに震える我が故郷レニングラード。

それは所謂日課というものだ。何もないことなど万も承知だ。

重い闇が覆った明日への道を照らす為、死肉を食らって命を燃やしている日々。

今にも気が狂いそうな生活に少しでも救いを見出す為、この日課は私には必要不可欠だった。

立ち止まったのは爆撃を受け、倒壊した隣家のレンガに少しばかり埋まりそうな店。

24時間営業の複合型小売店、つまりコンビニエンスストア。

明かりを燈さなくなった電灯を使った看板には「ファミリーマート」と書かれていた。

 

「店長、今日も生きてるかい。」

ガラスの引き戸を―――本来は自動ドアなのだが、これを開けると

鳴らない筈のチャイムの音が聞こえてきた。ただしトランペットの音色であったが。

「いよう、坊主。またお国の為の仕事サボってコンビニに来やがって。」

「残念ながら我らが中隊長殿は今日、腹と背中がくっついて死んだから休みだ。」

レジスターが置かれた台の向こうにはラッパを構えた店長がこけた顔に笑みを浮かべていた。

床等は相も変わらず清潔であったが、足りないものもある。店の棚が全て空っぽな点だけ。

「たかが中隊長が死んだくらいで何だ、兵士って言うのは名前だけか。

 その後ろに背負っている銃は何の為にあるんだ。」

「弾も無いライフルで何をしろって言うんだ。ドイツ女を泣かす事すら叶わない。」

背中のモシン・ナガンを揺らしながら下卑た笑い声を出し、私はカウンターに肘を付いた。

 

このコンビニは帝政ロシアの時代からあり、私が子供のころからの行き付けでもある。

何故ロマノフ朝が倒れたいまでも店を継続できているかというと、この町出身の大物党員に

スパイシーチキンの大ファンがいるという噂もあるが、真意は定かではない。

 

「しかし『命の道』からの補給はまだなのか。もうパンを口に入れなくて久しい。」

『命の道』それは冬の間だけ現れる淡い希望の道路だ。

レニングラード付近の湖、ラドガ湖が氷結している間、そこを通って補給が行われる。

「ああ、それに関しては良いニュースと悪いニュースがある。」

「へえ。良いニュースというのは。」

「『命の道』を通って新しい補給部隊が明日到着する予定だ。」

「じゃあ悪いニュースは。」

「昨日その補給部隊が爆撃を受けて物資が全部魚さんのものになった。」

店主の顔が曇る。朝に通信兵が真っ青な顔で噂話していたから間違いない。

しかし次の補給の目処は立っている。私はそれを知っていた。

「そんなに暗くなる必要は無いさ。また新しい補給隊が出発したそうだから。」

「到着は。」「1月7日だ。」

「1月7日だって。クリスマスじゃないか。」店長が興奮した様子で語る。

「中には鶏肉だってある。久しぶりにアレが食えるかもしれない。」

「ファミチキ。」店長の大きな一声。「そう、ファミチキ。」私の大きな相槌。

「久しぶりに調理できる。私の得意料理だ。」

「実は私もその補給部隊の護衛任務に当たることになっている。途中で合流するんだ。」

「何だって、大丈夫なのか。」

「大丈夫だ。私が責任を持って店長にファミチキを作らせる。」

所詮一兵士に過ぎない私から何故このような言葉が出たのかはよく分からない。

ただ高揚感と大きな興奮に突き動かされただけだったのだろうか。

 翌日には更なる絶望の味をかみ締める事になったのに。

 

 

 

 「はあ、はあ、はあ。ごほっ、ごほっ。」

結局どうしようもなかった。ベルリン―――ドイツの地名はこれしか知らない―――から

飛んできた鉄の鳥の爆撃によって補給部隊の殆どが凍てつく水の中に投げ出された。無論私も。

必死で這い上がったものの連日の空腹で力が落ちきっていた体に寒中水泳は応えた。

周りは死屍累々。私以外の生存者がいるかどうかも疑わしかった。

何とかレニングラードにたどり着かなければ。

その考えをやっと頭から搾り出し、私は重い足取りで歩き始めた。

ふと下に目をやればなにやら袋が落ちている。Курятинаの文字が書かれていた。

鶏肉だ。袋の中には沢山の鶏肉が入っている。これを届けなければ。町に、店長に。

抱えるとそれなりの重量があったが、私はそれでも絶対に捨てるまいと誓った。

四肢の感覚が無くなろうとも歩く事はやめない。幸いレニングラードはすぐそこの筈だ。

歩いて

歩いて

歩いて

歩いて

休んで

歩いて

歩いて

休んで

歩いて

休んで

歩いて。

日が暮れ月が昇ったとき、暗闇の中に町の姿が見えた。だがまだ少し距離がある。

私はその場で休む事にした。ひどい眠気も襲っていた。私は、静かに、眼を閉じて。

 

眠った。

 

 

どれくらい眠ったあとだろうか。鼻腔を擽る良い匂いがした気がした。

目覚めれば隣の皿に乗っているのは暖かいファミチキであった。

指が震えてまともに動かせなかったが、それでも何とかファミチキを掴み、口に入れた。

 

美味い。懐かしい味だ。大好きな味。

 

「目が覚めたのか。心配したぞ。」ドアを開けて入ってきたのは店長だった。

どうやら自分は町の付近で倒れたところを発見され、ここまで運び込まれたらしい。

「お前は、英雄だ。町の誇りだ。それは私からの賞賛の意だ。」

あまりにも真顔で、そして急で、少し店長の言っている意味が理解できなかった。

「お前は英雄だ。本当に英雄だ。お前は英雄だ。多くの人が絶望を抱いている中お前だけは希望を運んできた。

 お前は英雄だ。どんな苦境にあろうとも、諦めようとしなかった。諦めない事の大切さを俺たちに教えた。

 お前は英雄だ。多くの弱りきったの命に再び火を燈して明日への活路を俺たちに見せた。」

繰り返される言葉に私は少しばかりの疑問を感じた。英雄扱いは悪くない。だが、しかし。

「そんな大したことなんてやっていない。」私は率直に答えた。自分自身の嘘偽りの無い言葉を。

 

「私はただ、ファミチキを食べたかっただけなんだ。」

 

部屋には店長の大きな笑い声だけが木霊した。





イイハナシダナー

こんなに長くなるなら『続きを読む』機能つけた方がいいのかな?

考えておこう

明日はBGM変えますね~

画像お楽しみに♪

PR

無題

関係ないが最近リグルを描いていたらいつのまにかFFの皇帝になってた

  • 2009年10月04日日
  • 楽園の最高裁判長
  • 編集
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら